漫画でもアニメでも、悪役令嬢に転生する物語は面白く、人気のジャンルですよね。
ただ、一言で悪役令嬢と言っても、その中身は意外と奥深いものがあります。
作品によって、主人公たちはそれぞれ全く違う価値観や人生観を持っているのです。
そこで今回は、5作品の悪役令嬢を取り上げ、勝手に比較しながら、それぞれの違いを整理してみました。
同じ「悪役令嬢」でも、どれほど方向性が違うのか、楽しみながら読んでいただけたら嬉しいです。
今回比較する5人の悪役令嬢
今回取り上げるのは、タイプの違う5人の悪役令嬢たちです。
生き残ることを最優先する人もいれば、理想を貫く人、世界をゲームのように攻略する人もいます。
まずは、それぞれがどんなキャラクターなのか、簡単に整理して見ていきましょう。
カタリナ・クラエス
カタリナ・クラエスは、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(通称:はめふら)の主人公です。
前世の記憶を思い出すまでは、わがままで自己中心的なお嬢様で、婚約者であるジオルドからも好意を持たれず、ヒロインをいじめた末に破滅する未来が待っていました。
しかし、自分の運命を知ったカタリナは、破滅フラグを回避するために行動を一変させます。
とにかく善行を積み、最悪の事態に備えて魔法の訓練をし、なぜか農業に励み、さらには剣術まで身につけようと努力します。
その結果、ヒロインともすっかり仲良くなり、周囲との関係も大きく変わっていきました。
ただし、破滅フラグ回避に全力すぎるあまり、カタリナは周囲の気持ちにまるで気づきません。
もはや悪役令嬢というより、ただの天然キャラと言っていいほどの鈍感さです。
続編では恋愛にも少しずつ向き合うようになりますが、恋愛が原因で命を落とす結末を知っていることもあり、どうしても奥手な姿勢は変わりません。
結局、アニメではいわゆる「友情エンド」のような形に落ち着きます。
カタリナ本人は「破滅フラグ回避&みんなでハッピー」という大満足の結末ですが、視聴者としては「結局誰を選ぶの?」と思ってしまう人も多かったのではないでしょうか。
とにかく彼女は、恋愛よりもまず“生き延びること”に全力を注ぐ、破滅回避型の悪役令嬢だと言えるでしょう。
アリシア・ウィリアムズ
アリシア・ウィリアムズは、『歴史に残る悪女になるぞ』の主人公です。
彼女もまた、本来はヒロインに嫌がらせをした末に、最悪の結末を迎える運命にある悪役令嬢でした。
しかし、前世の記憶を取り戻したアリシアは、まったく違う選択をします。
普通なら、破滅する未来を知った時点で絶望するか、カタリナのように全力で破滅回避に走りそうなものですよね。
ところがアリシアは、そうは考えませんでした。
彼女はタイトル通り、「歴史に残る悪女」になることを本気で目指し始めます。
というのも、生前からこの悪役令嬢という存在に憧れていたため、転生したこと自体をむしろ前向きに受け止めているからです。
ただし、アリシアの言う「悪女」は、単に意地悪をしたり人を陥れたりする存在ではありません。
彼女が目指しているのは、「筋が通っていて、自分の信念を貫く強い女性」です。
それは本当に“悪女”と呼べるのか、少し考えさせられるところでもあります。
理想の悪女になるため、そしてヒロインと正々堂々勝負するために、アリシアは日々努力を重ねていきます。
この作品の面白いところは、アリシアが真っ直ぐに突き進めば進むほど、逆にヒロインの言動がどこか胡散臭く見えてくる点でしょう。
どこまでも自分の理想を追求し続ける、ある意味で“ダークヒロイン”らしい主人公だと言えます。
ユミエラ・ドルクネス
ユミエラ・ドルクネスは、『悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~』の主人公です。
前世でプレイしていたゲームの世界に悪役令嬢として転生しますが、彼女はその運命を悲観することもなく、かといって破滅を回避しようと必死になる様子もありません。
ユミエラが選んだのは、ただひたすらレベル上げに没頭することでした。
まるで人生そのものをゲームの続きのように捉えているかのように、淡々と経験値を積み重ね、その結果、レベル99という人類最強クラスの存在にまで成長してしまいます。
ヒロインであり主人公ではありますが、性格はどこか陰キャ寄り。
前世からゲームばかりしていた影響なのか、悪人ではないものの、積極的に人と関わろうとするタイプでもありません。
学園に入り、パトリックと出会ってから少しずつ変化は見せますが、その独特の天然ぶりは見ていて飽きません。
冷めているのか、天然なのか、見ている側も判断に迷うような不思議な雰囲気を持っています。
ただし、強さに対する執念だけは別格です。
正直、「ユミエラがいれば、ヒロインどころかメインキャラいらないのでは?」と思ってしまうほどの戦闘力を誇ります。
まさにその通りで、彼女は物語のバランスを崩しかねないほどの規格外の存在です。
とにかく、人生をゲーム感覚で捉え、強さ(レベル)に異常なまでの執着を見せる、かなり変わり者のヒロインだと言えるでしょう。
プライド・ロイヤル・アイビー
プライド・ロイヤル・アイビーは、『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民のために尽くします』の主人公です。
彼女は前世の記憶を取り戻し、これから自分が引き起こすはずだった数々の悲劇を避けるため、常に人々のために尽くす女王になろうと努力していきます。
ある意味で、プライドはこの生き方を「贖罪」として受け止めていると言えるでしょう。
この時点で、最悪の結末はほぼ回避できているようにも見えますが、彼女はそれでも常に悲劇の未来を恐れ続けています。
それは、自分が断罪されることへの恐怖というよりも、「自分のせいで周囲の人々を不幸にしてしまうこと」への恐怖です。
誰だって、好きで人を傷つけたい人はいませんよね。
しかし、本来のプライドは、人を傷つけることにためらいがなく、むしろそれを楽しむ様子すらある最低な女王でした。
悪役令嬢としてヒロインをいじめるだけならまだしも、彼女は「女王」という立場で、多くの国民や家臣を不幸にしてしまう存在だったのです。
そんな未来を知っているからこそ、プライドは「常に正しくありたい」と強く願います。
贖罪のために、常に正しく、公平な女王であろうとし続ける。
使命感を背負いながら生きるヒロイン、それがプライド・ロイヤル・アイビーです。
グレイス・オーヴェルヌ
グレイス・オーヴェルヌは、『悪役令嬢転生おじさん』の主人公です。
ただし、その華麗な見た目とは裏腹に、中身は52歳の公務員・屯田林憲三郎(けんざぶろう)という、かなり異色の設定になっています。
この時点で、すでに「悪役令嬢」としては成立していないと言ってもいいでしょう。
グレイスとして目覚めた当初は、状況がまったく理解できず、「なぜこうなったのか」という疑問の連続です。
そのため、破滅を回避するとか、ヒロインの恋愛模様がどうこうといったことにも、彼いや彼女は、ほとんど興味を示しません。
中身がおじさんなわけですから、視点はどうしても「親目線」になってしまうのです。
その結果、本来のヒロインであるアンナやメインキャラクターたちとも、あっさり打ち解けてしまいます。
むしろ「悪役令嬢」らしく振る舞うどころか、気がつけば周囲から敬われ、慕われる存在へと変わっていくのが、グレイスの面白いところです。
さらにこの作品のユニークな点は、屯田林憲三郎の妻や娘がゲームを通して、グレイスをサポートできるところにあります。
中身がおじさんであるグレイスは、とても人間味があり、その姿に周囲のキャラクターたちも自然と温かい気持ちになるのではないでしょうか。
そして、憲三郎が演じるグレイスが、本来のグレイスの意識にどう影響を与えていくのかも、今後の大きな見どころです。
どこか親父くさいのに、それでもエレガントが成立してしまう、そんな不思議な魅力を持った、心温まる悪役令嬢です。
まとめ
今回、ご紹介した5人の悪役令嬢達、いかがでしたでしょうか?
まとめると表になります。
| キャラ名 | 作品名 | 行動原理 | キャラの特徴 | 恋愛との距離 | タイプ |
|---|---|---|---|---|---|
| カタリナ・クラエス | 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… | 破滅フラグ回避・生存最優先 | 天然・鈍感・無自覚人たらし | かなり奥手・回避気味 | 破滅回避型 |
| アリシア・ウィリアムズ | 歴史に残る悪女になるぞ | 理想の悪女を目指す自己実現 | 芯が強い・まっすぐ・努力家 | 正面から向き合う | 理想追求型 |
| ユミエラ・ドルクネス | 悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~ | レベル上げ・効率重視 | 無表情・天然・ゲーム感覚 | 優先度低め | 攻略・最適化型 |
| プライド・ロイヤル・アイビー | 悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民のために尽くします | 贖罪・国と民を守る | 責任感が強い・自己犠牲的 | 立場と使命優先 | 贖罪・統治型 |
| グレイス・オーヴェルヌ | 悪役令嬢転生おじさん | 周囲を導く・保護者目線 | 中身おじさん・人情派 | ほぼ保護者視点 | 父性・導き型 |
今回紹介した5人の悪役令嬢には、それぞれ違った魅力があり、人生観や価値観も大きく異なることが分かりました。
同じ「悪役令嬢」という立場であっても、生き残ることを最優先する人もいれば、理想を追い求める人、世界をゲームのように攻略する人、国と民のために生きる人、そして周囲を導く存在になる人もいます。
本来、悪役令嬢という役回りは、他人だけでなく自分自身も傷つけてしまう運命を背負った存在です。
それでも彼女たちは、それぞれのやり方で自分の人生を切り開こうとしています。
その姿に、私たちはきっと心を打たれるのではないでしょうか。
今回ご紹介した作品はAmazonプライム・ビデオで配信されています。
見放題・レンタルなど配信形態は時期によって変わることがあるため、気になる方は公式ページで最新情報をご確認ください。
